春、幸福な食卓を、バーニーズで
映画「幸福な食卓」
前々から見たかったけど、いつのまにか上映時期は終わり、レンタルしてからもずいぶん経ったが、ようやく鑑賞。
素晴らしい映画だった。
なんかうまく言葉が出てこないけど、すごく心が優しい卵のような殻に包まれた気がした。家族といういちばん身近で、いちばん見えづらいものをときにゆっくりと、ときに冷静に、ときに主人公佐和子の目線で描かれる。
この映画が醸し出す雰囲気やテーマはすごく普遍的だけど、なかなかそれを意識することってなくて、僕らは日常を過ごしてる。
でも、きっと大事なことはこういうことなんだよね。
自分でも気づかないところで自分は守られていること。
家族は作るのは大変だけど、その分滅多になくならないこと。
他人にしか救えないものがあること。
わかっているようで、わからない。
気づいているようで気づいていない。
映画は主人公佐和子と大浦の淡い中学生の恋愛を軸に描かれる。
そして、なによりミスチルの「くるみ」と小林武史の音楽が確実に映画を1.5割増にしている。最後のあれはもはや反則に近い。
また、これは個人的主観だけど、主演の北乃きいは感動するくらいのよかった。
「耳をすませば」の雫を実写化したようなキャラクターだが、何より僕が好きだったのは彼女の表情。それもふとした一瞬の表情。これってすごい!
将来が楽しみな女優です。
ちなみに、映画の中の佐和子は娘にしたいナンバーワンな女の子ですw
唯一残念なのが、この映画、日常をうまく切り取っているけど、日常の「一瞬」を切り取るところには失敗している。中学生のシークエンスとかね。そこは残念。でも、いい映画。DVD買おうかなあ。
続いて読んだ本のレビュー。
吉田修一「春、バーニーズにて」
中年の主人公筒井を軸に描かれる連作短編小説。
これはもう完全にタイトル買い。
物語としては、さこまで魅力的なストーリーもなく淡々と物語は進む。
ただ、おそらく今まで作家たちが切り取っていない日常の風景や仕草をうまく書かれているなあという印象。
個人的には「パーキングエリア」という作品が好き。
ラストシーンがなかなかいい終わり方をしている。
たぶん、これが書きたかったからじゃないかと思うくらい。
そんなこんなで週末は何して過ごそうかな。
by ground0803
| 2008-04-12 01:10
| 映画、映像